満月とボタン雪

雪の降る満月の夜叩いた神秘の扉 粒子の私 森羅万象の秘密宇宙の真理 地図のないワンネスへの旅がはじまる

満月とボタン雪

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 46年間「この世」という時と空間の内に生き ある日忽然と時を

すり抜け空間の外側の何処へ消えてしまったのか?

傷だらけの小さな体だけを残して・・・

 

何かに誘われるように 疲れた体が歩いている

悲しいわけでも寂しいわけでもなく 疲れを遠くに感じながら

ただ 歩いている

今は 真夜中

街路灯の光線1本1本が輝きを増し ボワッーボワッーと広がり

柔らかなタッチで道路を埋めてゆく

光のトンネルをくぐり抜けると

目の前に小さな青い丘が現れ その天辺には

4、5本の細い木のシルエットが浮いている

丘を登ると突然  煌々と照る満月が視界に入った

「そう 今日は満月 雪も降っている」

月はこの上なく大きく 明るく 丸く目の前に浮かんでいる

ボタン雪は切れ間なく 柔らかな綿の花となって 天と地を

結ぶように降りてくる

どれくらい時が過ぎたのか 微動だに許されない1瞬1瞬

真空の中にうずくまり 覗き見をするように「満月とボタン雪」の

織りなす神秘なショウを見ていた

「ある 知らない別の世界が」すでに確信している

慌ただしく走り去っていく時の片隅に 目に見えない世界への扉が

「満月とボタン雪」の夜 その扉を叩いたことを知ったのは7年後

のことである