三層の私
今は真夜中
ボロボロの肉体はすでに すべての重力と緊張を
脱ぎすて「大の字」の死体となって横たわる
意識は無意識への階段を下りはじめ 最後の一段
で立ちどまる
振り向けばまだ 遠くに1点の明かりが見えるはず
「? ? うーん?」
真っ暗な部屋の空間に 横たわる雲のように白い
エネルギー体がポワンと浮いている
なぜかそれは「わたし」と知っている
屍となった肉体と 浮いている白いエネルギー体
そして見ている「わたし」
朝
屍は新しい衣服を身にまとい「わたし」を抱く
1/2の重力と1/2の緊張を取りもどし
新しい朝となる
「あれは何だったのか」考えながら起きだすと
体が異様に軽いのに気づく そして重度の肩こりが
跡形もなく消えている
上の方から横たわる自分を見るという臨死体験者の
話しはよく聞くが 寝ている自分が浮いているもう
ひとり自分を目撃するとはどういうことか?
更年期障害の始まりなのか?
手を頭にのせると腕がなく 手のひらだけが帽子のように
のっていたり 机にのせた腕が浮いている気がしたり・・
49年生きて初めて出会う感覚である