全スイッチをオフにして
冬の日
濡れたような日差しの中 薄暗い階段を下りると
スイッチがoffになるかすかな音がする
カチッ
呼応するように深くで スイッチがonになる
offでありonである時の訪れ
思考は慌ただしく ヤシの木陰になりをひそめ
呼吸は寄せてはかえす波に身をまかす
肉体はすべての緊張を洗い落とし
至福のなかに消えようとしている
ただ一つ 何かを置き去りにして
思考がコソコソ木に隠れた
呼吸が波のはざまにきえるのを
目撃するものは何か
完全なリラックスのなか
それぞれが分離しながら消え去るのを
目撃するものは誰か
一面の朝もやのなか 置き去りにされた目撃者はわたし
止まった時の中で 宙ぶらりんに浮いている
剥き出しのわたし
小さな一粒の意識の種
種は聞いている 鳥たちのささやきを
種はみている 淵のない朝もやを